素材


当工房の作品は、群馬県武尊山、皇海山、赤城山の山奥に自生する
良質の山ぶどうの蔓を、一本一本丁寧に編んでおります。
山奥の雪深くの厳しい環境で育つ山ぶどうは、太くて上質な蔓に成長します。
ここではちょっとだけ、当工房の材料づくりを紹介させて頂きます。

1、山ぶどうの生息地

耐寒性が強く厳しい環境の中でも生息できるヤマブドウは、山の奥深く、雪深い所でひっそりと自生しております。
気候の良い暖かい地域にもヤマブドウは育ちますが、他の品種の蔓に絡まれてしまうと、ヤマブドウは枯れてしまいます。

よく手入れされた針葉樹林では、枝打ち、下草刈りの際に蔓を切られてしまう場合もあり、または自然林では枝分かれしやすく太く長い幹の部分が少なくなってしまいます。そのため、あまり手の入っていない針葉樹林や、他の蔓が生息しにくい厳しい環境の中で育つヤマブドウほど、太くて良質な蔓に育ちます。

2、蔓取り

ヤマブドウは、木にもたれかかる様に生えており、もたれかかった木に6メートル~10メートルくらい登り、二股に分かれているところで蔓を切り落とします。







切り落としたヤマブドウから一番外側にある鬼皮を剥ぎます。
この鬼皮のおかげで、ヤマブドウは寒さに強いといわれております。
鬼皮を剥くと、綺麗な皮が現れます。
この皮は6月中旬から剥ける様になり、7月上旬くらいから二枚に分かれてしまうため、それまでに収穫します。



剥いたヤマブドウの皮で質の良いものは、ほとんどがクリーム色をしております。
地表に近い部分や、途中でダメージの在った皮は、裏が紫色や、茶色、緑色をしており、そういった革は、丈夫ではなく、もろい事が多いです。



 薄い材料の籠に注意    

稀にとても薄い材料の籠を見受けます。
その理由としては、二枚に分かれた後のヤマブドウの皮を使用している場合が考えられます。または、煮て一年中皮を剥いでいるところもある様で、その場合、蝋や油を使用し艶をだしたり、あらかじめ塗料で染めている様です。
作品の裏側をみて表面と同じ色であれば、染めた可能性が高いと思われます。

3、乾燥

収穫したヤマブドウの皮は、天日でよく乾燥させます。
天日で乾燥の後、雨のかからない場所にて更に乾燥させると、長期にわたり保存できます。




4、ヒゴ作り

ヒゴにする際は、剥いて乾燥させた樹皮を水に浸けて戻し、なめしをかけて均一の幅に切ります。
手提げ籠を一つ作るのには、およそ60メートルの材料が必要となります。
手の込んだ編み方ですと、200メートルほどの材料が必要になることもあります。

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